ハイウェイ

4
5

 僕が旅に出る理由をいくつか考えてみた。やっぱりいまの場所が窮屈だからかな。あの歌のいうとおりだ。毎日おなじことの繰り返し。べつにルーティンは嫌いじゃない。


 でもいつもうららかな小春日和じゃちょっと退屈だ。英語じゃ小春日和はインディアンサマーなんだっけ。たまには予期せぬスコールに打たれて傘もささないで駆け出したい、そんな感じ。


 これは僕の生温い考えなのかもしれない。いつも与えられた檻のなかで夢想する野性を忘れた獣のような。完全にコントロールされて自我を失っていく。玩具でもなんでも与えられて四六時中それを手にして遊んでいるんだ。


 僕が旅に出る理由なんて本当はなにひとつないのかもしれない。あの歌だってそう歌っていた。でも僕は旅に出たい。それが日常のなかのささやかな旅でも。ほら、とおり雨がやんだ。束の間だけでも僕達は旅立てる。この人生自体がひとつの旅なんだから。
その他
公開:20/02/17 15:44
更新:24/05/15 10:40

千億アルマ( Tokyo, Japan )

ショートショートは、短い小説ではなく、読解可能性を最小単位へ圧縮した記録媒体である。本アーカイブは作品を保存することを目的としない。保存されるのは、読者との接触によって意味が生成・変容する条件そのものである。ジャンルは分類ではなく読解の副産物であり、一篇はSFにも日常にも寓話にもなり得る。物語とは完成された構造ではなく、読むという行為のたびに更新される暫定的な現象である。ゆえに作者は創作者ではなく観測者であり、アーカイブとは物語の集積ではなく、物語が発生し続ける可能性を保持するための実験的装置として位置づけられる。長すぎるだろ、これ。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容