星釣り
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夕日はすでに西の海に沈み、夜の戸張が降りた堤防の上で、私は釣りをしている先生の隣に座っていた。
先生が竿をあげると針先には餌を咥えた星が瞬いていた。先生は星を針から外し、傍らにあるバケツに星を移した。
「先生。今日の理科の授業」
「ん?」
「昔の人って馬鹿だね。地動説なんて。本当に地球が回ってたら私たち船酔いだよ」
東の海面から次々と浮上する星々を見つめて私は言った。先生は相づちも打たず、傍らのカバンから冊子を取り出した。
『進路希望調査』
先生は冊子から一枚切り取り、丸めて塩水で柔らかい餌にすると、針につけて竿をふった。
暫く釣れずにいると、空気を震わし大地が海面から現れた。月だ。規模が大きい。満月だ。無数の星が波に呑まれ、轟音が私の耳に遅れて響いた。
「ポケットの、明日までな」
唐突に呟いた先生の一言に、私はポケットの中にある白紙の紙をクシャと握り潰した。
先生が竿をあげると針先には餌を咥えた星が瞬いていた。先生は星を針から外し、傍らにあるバケツに星を移した。
「先生。今日の理科の授業」
「ん?」
「昔の人って馬鹿だね。地動説なんて。本当に地球が回ってたら私たち船酔いだよ」
東の海面から次々と浮上する星々を見つめて私は言った。先生は相づちも打たず、傍らのカバンから冊子を取り出した。
『進路希望調査』
先生は冊子から一枚切り取り、丸めて塩水で柔らかい餌にすると、針につけて竿をふった。
暫く釣れずにいると、空気を震わし大地が海面から現れた。月だ。規模が大きい。満月だ。無数の星が波に呑まれ、轟音が私の耳に遅れて響いた。
「ポケットの、明日までな」
唐突に呟いた先生の一言に、私はポケットの中にある白紙の紙をクシャと握り潰した。
青春
公開:20/02/18 14:38
更新:20/02/23 21:11
更新:20/02/23 21:11
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
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