帝園

「日本には八百万の神、すべての物に神が宿っているという考え方があります。主に自然信仰にあたりますが、日本庭園のベースにはこうした考えが根付いています」

「造り方のひとつに『石組』があります。お釈迦様を表す石を中心に、両脇にお弟子さんを立てるもので、禅の心、つまり仏教の要素が加わっています」

「高低差や奥行きをつけると、物語が生まれます。今日は山の中に滝があり、水が流れ、川がやがて海につながっていくというイメージを、樹木・苔・石・砂利で表現してみましょう。砂利を海に見立てると、枯山水になりますよ」

「いいねえ！　砂利の中の石が船みたいだね」
『戦艦です』
「え？　その横の大きな岩、二つはなんだい？」
『戦艦大和と戦艦武蔵です』
「池に浮かぶ島には、どうして小石を置いたの？」
『空母に停まってる零戦を表現しました』
「君は物知りだね。でも日本庭園じゃなく、大日本帝園を作ったらダメだよ」