おとな入試

中学三年の冬。高校の入学試験で、せっせと紙に穴をつくった。マークシートだ。
出題者の意図する穴を、塗りつぶせたらビンゴ。私は無事、その高校に入学することができた。
あれから一〇年。私の精神年齢は、あの頃のまま。一会社員として頑張っている。
社会に出てからは…。会社の机に、ボールペンで穴を開けない。隣の家庭が気になるからと、マンションの壁に穴を開けない。家族の予定に、穴を開けない。妻と子どもの心に穴を開けない。私は無事、生活で赤点をとらずにやってこれた。
ところが最近の問題は変だ。カンニングＯＫ、一人で解かなくてＯＫ。でも解けなければ、被害、台風級の問題が、連続出題。
「移民マンション、ゴミ出し問題」「自然災害、頻発・大規模化」「コロナウイルス」
これが、本当のおとなの問題なのか。本当のおとなへの入学試験は、答えを見せても終わらない。生き様を見せ続け、死んで初めて、合格かどうか分かるのかな。