バニラガール

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甘いバニラの香りがする女の子。僕たちは彼女の働くガールズバーで、客と店員として出会った。そのキュートな容姿と、魅惑的な香水の匂いに僕は夢中になった。まだ20代前半でありながら、複数の会社を経営する彼女は、忙しい合間を縫って僕に会ってくれた。
そしてとうとう、彼女の家に招待されることになった。緊張しながら彼女の家に足を踏み入れると、真っ白なポメラニアンが飛んできた。とても毛並みの良いその犬は空色の洋服を着ていた。
「バニラ、この人あなたの弟よ。あ、この子の方が先に住んでたからあなたはその下ね。上下関係、大事だから」
食事もハグもキスも全てバニラが優先。僕はチロと呼ばれ、彼女の気が向いた時だけ可愛がられた。
ある日、彼女が外出中に奥の部屋に行ってみた。中にはたくさんのケージがあって、男たちが閉じ込められていた。
「ようこそ、新入り君」
彼らはしっかり躾られていて無駄吠えひとつしていなかった。
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公開:20/02/16 10:11
更新:20/02/20 19:54

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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