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 ボーカロイド「ねゐ」の声は特殊な周波数を持っていた。人々はねゐの歌声に酔いしれた。不安がなくなる。癒される。人々は仕事をしなくなった。不安がなくなったから。ものは売れなくなった。ものがなくても生きていける。必要最小限のものさえあれば。


 ねゐの歌はいたるところで流れた。街角で。店内で。オフィスで。学校で。病院で。個人個人の家で。人々は苦痛を感じなくなった。


 戦争はなくなった。癒されて満たされていれば戦争は必要がない。疫病ははやった。しかし苦痛を感じないので人々はやはり満たされていた。


 ねゐを地球に投入したのはある地球外生命体だった。彼らには慈悲があった。これから征服し、虐殺していくものたちが安らかであるように。
SF
公開:20/02/16 09:47

千億アルマ( Tokyo, Japan )

Senoku ALMA
https://note.com/shiro_mid

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