彼の高給取り

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 「社長!」
 中川さんの呼びかけで我に返った。すべき事がありすぎてしまい、機能停止してしまっていたようだ。
 辞職が相次ぎ、現在この事務所には僕と中川さんしか居ない。
 「中川さん、こうなったらあの方に頼ろう」
 「あの方って?」
 「テレビとビデオデッキを用意して下さい」
 中川さんは何度も顎で小さく頷きながら倉庫の方へ走って行った。僕は自分のデスクの引き出しを開けて金庫を取り出すと、歴代の社長に受け継がれている鍵を使って開けた。
 1本のビデオカセットテープ。
 「持って来ましたけど」
 「では準備を」
 中川さんは機械に強い女性だった。
 「ありがとう。では、“再生”」
 再生ボタンを押すと、液晶画面に1人の男性が映った。
 「お久しぶりです森田さん。御力を貸して頂けないでしょうか?」
 「いいよ、それじゃあ早速始めよう。私は何を……」
 突然、映像が乱れてビデオデッキが停止した。
その他
公開:20/02/15 18:29
更新:20/02/15 19:53

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