二人の殺し屋

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男が私に拳銃を向けていた。
「なにか言い残すことはあるか」
「お願いだ。殺さないでくれ」
「ふん。ありきたりだな」
そう言って、男は引き金を引いた。
……が、まだ私は生きていた。
男の拳銃が暴発したからである。
すばやく男の拳銃を蹴り飛ばし、私は自分の拳銃で男を撃った。
……が、これも暴発した。
私も同じように男とその場で手を押さえながらうずくまる。
耐えがたい痛みが襲い、いまにも気を失いそうだった。
ここは路地裏。
助けが来ないよう、細心の注意が払われている。
辺りは少しずつ、血の海になっていった。
殺し屋の二人はただ、その時を待つしかなかった。
こうして二人はお互いの仕事を成功させたのだった。
二人は同じ依頼主から同じようなことを言われていた。
「ある男を始末してほしい。なに、心配はいらない。私が作った拳銃を使ってさえくれれば……」
ミステリー・推理
公開:20/02/16 15:55
更新:20/02/17 07:33

ふじのん

歓びは朝とともにやってくる。

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