日曜日の箱入娘

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テレビを消した部屋は静かで、まだ15時だというのに照明をつけてもどこか薄暗く感じる。
しかし、嫌な暗さではない。静かに鼓膜を揺らす雨音と、指先を温めるマグカップが私を安心させた。
半年間に引っ越してきた1K12畳の狭い箱は、すっかり私の体に馴染んでいた。必要最低限に揃えられた家具は、安価だが気に入ったデザインのもので、築17年の床は時々軋むが柔らかい。

さあさあと雨がベランダを叩く音が聞こえる。車が通れば、水しぶきをあげる音。
全てはこの部屋の外の出来事で、薄壁一枚挟んでしまえば私には関係のないことだった。
金曜日の夜の彼との喧嘩とか、既に決定してる月曜日からの残業とか、未読無視された親友へのメッセージとか。
外のノイズはどうでもいい。

掃除も洗濯も終わらせた日曜日の私は無敵状態だ。この安全な箱の中にて、今だけは世界で一番幸せな女であると浸るのだ。
その他
公開:20/02/16 15:40
更新:20/02/16 23:09

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