木下君のいるトイレに入ってきた重子おばさん

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 バス観光の団体は女性客の割合が多く、だいたいみんな昼食後にレストランでトイレを済ませておこうと思うものである。
 木下君はそんな長蛇の列を見て不憫に思いつつ、ガラ空きの男子トイレへ入っていった。
 そこへ一人のマダムも入ってきた。
「あら間違えちゃったわ。ごめんなさいね。でも、せっかくだから、借りちゃってもいいかしら?」
「え?」
 木下君は逡巡し、このご婦人はよほど切羽詰まっているのでは、と心配した。
「ど、どうぞ…」
「ちょっと! 男子トイレも使っていいそうよ」
 マダムは振り返ると手招きをした。
「あらー!」
「まぁ!」
「ごめんなさーい」
 ぞろぞろとご年配のご婦人方が男子トイレに入り占拠した。

 木下君はずっとズボンを降ろせずに立便器の前に待っていた。ご婦人はみんな個室に籠った。今しかない! ベルトに手を掛ける。
「まぁ!」
 ちょうど後ろの個室から出てきたご婦人の声がした。
その他
公開:20/02/16 10:58
更新:20/02/16 21:04
木下君 重子おばさん

水素カフェ( 東京 )



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小説家になるために文章の勉強をしたいと思っています。
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小説のジャンルとしては、ミステリやホラーを目指していますが、
ここではあまりこだわらずに書いてみようと思っています。

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