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魔物退治を生業とする家に生まれた私は幼い頃から魔物の住処である森に修行に行かされていた。
親族は非情で、弱者は死んで当然と私に言い聞かせた。
だが母だけは違った。魔物の森で一人泣き続ける私を励まし寄り添ってくれた。
それは二人だけの秘密。だから家では何事もなかったように過ごした。

時が経ち、魔物の森での修行も慣れてきた。
親族が試験と称し、この森に棲む妖狐を退治して来いと命令し、それに従った。
妖狐は私を油断させる為に母の姿をしていた。そんな変化に誰が騙されるものか。私は妖狐を切り伏せた。
以来、森に母が現れる事がなくなった。
私はやっと気づいた。いつも私を見守ってくれたのはあの妖狐だった。
妖狐の巣には魔物の森で私が母と作った沢山の思い出が並べられてあった。

その夜、私は妖狐の毛皮を被り親族を惨殺した。死にゆく親族は私を魔物と呼んだ。
問おう。心無い人間と心有る妖狐、どちらが魔物ぞ?
ファンタジー
公開:20/02/13 19:10

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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