おまもり

代々農家を営んでいるウチはお守りの中に稲穂を詰め込んでいる。
米一粒には７人の神様が宿るというが、この稲穂の中にいる神様はあの御稲荷様だ。
ウチのご先祖様はかつて御稲荷様と契りを交わしたそうだ。そのおかげで不況と言われる農業であってもウチは食べていける。
その代わり、お稲荷様を子々孫々まで崇めるよう命じられた。
俺もまた、その言いつけを守ってお稲荷様を崇めている。
そんな御稲荷様の一人に俺は気にいられた。
御稲荷様と言えば狐をイメージする人が多いが、実際は好々爺や美しい女性である事が多い。
俺はその美しい女性に求婚された。狐にでも抓まれたと思ったよ。
俺は彼女と結婚した。結婚前はおしとやかだった彼女は結婚後に豹変した。
毎日俺に雷を落としてはしっかり働けと鞭打ってくる。
怖い稲妻が僕を責める。でも僕は君に心酔している。ゲッチュー！
今日も俺は稲穂の入ったお守りを持つと畑仕事に精を出した。