クーベルチュール・マイナス

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もう、部屋中チョコレートに染まって見える。
テンパリングに失敗したクーベルチュール(製菓用チョコ)が、ボウルでぐったりしてる。匂い嗅ぎ続けて、私の鼻もげんなりしてる。……また温度下がり過ぎ。ゴムベラで掬って、味見も大分うんざりしてる。ジャリジャリで予想より苦くて、何回やり直しても美味しくない。
本見ながらやって、何で上手くいかないの?『今年は作る』なんて大見得切って、引っ込み付かない。材料も時間も勿体ない。それ以上に申し訳ない……。

「まだやってるの?そろそろ寝よう」
「駄目。あと少し」
しょうがないなって顔。いつも子ども扱い。チョコレートより甘くて、私が我がままで嫌な女に思える。
「じゃあ、俺が欲しいものをくれたら、1時間延長」
欲しいもの?この人が条件なんて珍しい。
「……いいけど、何?」
「クーベルチュール・マイナス5文字。制限時間10秒」
答えが解った時、笑った顔は目の前だった。
ミステリー・推理
公開:20/02/14 23:59
更新:20/02/15 00:08
クーベルチュール・チョコレート ケーキのコーティング等に使う 製菓用のチョコレート ……ぎりぎりバレンタイン当日。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。

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いつも本当に、ありがとうございます!

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