手の平のクレーター
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                                私が社員食堂で遅い昼食を取っていると、同期の山下くんが隣に座った。
「聞いてよ。今日、お岩さんが…」
「ああ。岩田様ね。私、窓口離れてて気づかなかった」
山下くんの担当はクレーム処理だ。
「お岩さん日本語通じねえ…」
「災難だったね」
「山下ァ。今日は大変だったな」
「課長…ヤバかったっスよ」
「ゆきちゃん、癒してあげてー」
「あはは」
「マジ辛かったッス」
「クレームは耳で聞くんじゃなくて、手で受けるんだよ」
課長の手の平にはクレーターがあった。
山下くんの手の平のクレーターは日に日に大きくなっていった。
「大丈夫?」
「俺、マメとか出来やすい体質なんだよなぁ」
「そんな時にごめんね。砂川様が…」
「ああ、砂かけババア?行きまーす」
「お久しぶりです、砂川様。本日はいかがなさいました?」
「いかがも何も…」
山下くんが手を開いた瞬間、砂川様は手の平のクレーターに吸い込まれていった。
    「聞いてよ。今日、お岩さんが…」
「ああ。岩田様ね。私、窓口離れてて気づかなかった」
山下くんの担当はクレーム処理だ。
「お岩さん日本語通じねえ…」
「災難だったね」
「山下ァ。今日は大変だったな」
「課長…ヤバかったっスよ」
「ゆきちゃん、癒してあげてー」
「あはは」
「マジ辛かったッス」
「クレームは耳で聞くんじゃなくて、手で受けるんだよ」
課長の手の平にはクレーターがあった。
山下くんの手の平のクレーターは日に日に大きくなっていった。
「大丈夫?」
「俺、マメとか出来やすい体質なんだよなぁ」
「そんな時にごめんね。砂川様が…」
「ああ、砂かけババア?行きまーす」
「お久しぶりです、砂川様。本日はいかがなさいました?」
「いかがも何も…」
山下くんが手を開いた瞬間、砂川様は手の平のクレーターに吸い込まれていった。
        その他
      
      公開:20/02/12 20:45
更新:20/02/12 20:47
    更新:20/02/12 20:47
                  スクー 
                  手の中のクレーター 
              
    北海道出身です。
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ぱせりん