つばさの行方

「ねずみ君、やっと来たかい」
「いのししさん、やけにそわそわしていますね。何かあったんですか？」
「ああ。実はね、凄く良い靴を買ったから早く走り出したくてたまらないんだよ」
「へぇ～、どんな靴ですか？」
「見てくれ、この翼がデザインされたスポーツシューズ！何でも、この靴は本気で走ると空も飛べるらしい」
「そんなバカな…」
「いやいや。それが本当なんだ。だから早くこの靴で世界中を走り回りたくて仕方ないのさ」
「そうですか。くれぐれも無茶しないでくださいね」
「分かった。それじゃ、行ってくる。あとの事は頼んだよ！よいお年を！」
「あっ…いのししさん…行っちゃった…しかも本当に空飛んでいるよ…さすがいのししさんだ。猪突妄信。信じる事で不可能すらも超えてしまう。憧れるなぁ…
　神様。どうか、いのししさんとあの翼の行方が楽しい旅路でありますよう、見守っていてください」