花火のように

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「わー、真っ黒。予定ぎっしりなのねー」
気になるあの子がついに興味を示してくれた。僕は手帳をわざと見えるように開けて置いておいたのだ。
「違うよ。黒いところは予定なし」
「え? じゃあ、その一マスだけ空いてる白い日は?」
「この日は花火大会がある日なんだ。で、予定開けてあるの。その……えーと……き、君と行きたくて」
やった。言えた。鏡の前で何回も練習した成果だね。
「あはは。なにそれー。ナンパ?」
「そ、そんな軽い気持ちじゃないし」
「ふふ。良いよ。じゃあ、一緒に行こ。その日の予定、私が埋めてあげる」
こうして僕は彼女との初デートにこぎ着けた。

花火大会当日。
色とりどりな打ち上げ花火を見上げる僕たち。彼女の瞳にもそれが反射し、煌めいている。
ここだ。この恋は、あの花火のように爆発寸前。僕は彼女に告白しようとした。その時……。
「あ。私、彼氏いるから」

プスッ。
僕の恋は不発弾だった。
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公開:20/02/12 23:58
ビッグバン予定表 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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