テーブル、ドン。

パパはすぐにテーブルを手でドン！　とする。別に怒っているとかそういうのではない。もう癖みたいなものなのだろう。
私は小さな頃からそれが大嫌いだった。小さな頃はそれが怖かったのだ。
今となっては怖くはないけど、ただただイラッとくる。どうして、いちいちドン！　とするのか。
最近になって、ひとつ気付いた事がある。パパはテーブルをドンとする時、テーブルを見ていないのだ。
そこで、私は閃いた。長年を鬱憤を晴らすチャンス到来だ。せっかくだから動画を撮ろう。そしてYouTubeにアップしてやるんだから。
そうと決まれば話は早い。私は隠し撮りの準備と、あるモノの準備を手際よくすませた。あとは実行するチャンスを待つのみ。
そして、その時がきた。私はそっと行動に出た。次の瞬間……。
「ギャッ！」
パパの叫び声が部屋中に響いた。
そう、パパはテーブルをドンとしようとしたのだ。でも、そこには私が置いた剣山が……。