「無重力」

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無重力空間で屁をすると、その場はどうなるのか。それについての考察と謎の数式がびっしりホワイトボードに書かれていた。
「くだらん。実にくだらん!」
会議室の後方でこの様子を静観していた教授が、大声を張り上げながらホワイトボードの前へと歩み寄る。そしてキュッキュッと消し始めた。
会議室がしんと静まり返る。そんな静寂の中、今度はキュッキュッとマジックペンをはしらせる音が響いた。
ホワイトボードに図のようなものが次々と書かれていく。それがびっしりと埋まり、ペンを置いた教授がこちらを向いた。その顔は紅潮している。
「これが、答えだ!」
そう言われても困る。ホワイトボードには子供のお絵描きのような図で埋まっていたのだ。その時、一人の男が「へぇ……」と口を開いた。
「教授は長らく風呂に入っていない、と」
予想外の真実である。しかし教授は臭くない。恐るべき無臭力。
その事実に、私は体が宙に浮いた気がした。
その他
公開:20/02/12 23:55
無重力予想図 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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