Moonstruck 〜月の輝く夜に

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満月の夜、枕元に物語が降ってきた。
眠りに落ちる直前に、まるで頭をはたくような勢いで。

物語は、私が目醒めたとみるや、次から次へと話し始めた。頭の中を映像が駆け巡る。ただ物語の奴、自分でもまだよく判っていないのだろう。話の順序も何もあったものじゃない。そのくせ妙なディテールにこだわったり。
それでも物語は楽しそうに話し続けた。

—ある文学賞に向けて、ずっとネタを考えていた。規定のテーマは決して苦手なものではないのだが、どれも話が膨らんでいかない。締切も迫り、半ば諦めていた矢先にこの騒ぎだ。あれほど何も思い浮かばなかったのに。満月とは恐ろしい力を持っているものだ。

物語は話すだけ話すと、あとはよろしくとばかり、結末も決めずにさっさと月に帰って行った。
やれやれ気ままなものだ。
まあ最近、偉大な博士の講義も受けたことだし、ひとつ腹を括って書いてみよう。

きっと私も楽しくなるに違いない。
その他
公開:20/02/12 07:00
更新:20/02/24 16:43
満月 物語 文学賞 講座 蟲乃森みどりさんに感謝

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
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【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

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