円氏と方氏

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「俺って、ぶっちゃけ地味やん」
開口早々これである。
話があるからと居酒屋で待ち合わせ、着いたときには空き瓶が二本。
ああ長くなるな、嫌だな。と思いつつ席につく。
「お前はまだ丸いからええやん。わしを見てみ。角張っとるやろ? 性格尖ってるって絶対思われとる」
何回言ったか分からないセリフを吐いた。正直ウンザリだ。自分の言葉なのに。
「まーたそれかいな。聞き飽きたわ」
お前が言えることじゃない。
「俺はこの丸顔のせいで、女子から一切見向きをされないんや。醜男やねん。くそ、せめて角がひとつでもあれば……」
涙声を堪えながら机に突っ伏す相棒。気持ちは解らんでもないから流石に同情を禁じえない。
「中の人のな、価値観とか趣味嗜好のせいで……わしらって、ほんとに不憫だよなー……あ、生ひとつで」
すると相棒が天井を仰ぎ見て、
「あ~~、"前方後円墳"に整形してえわ~~~」
俺たち地味古墳の運命は切ない。
青春
公開:20/02/11 22:41

加賀守 崇緒( 猫屋敷 )

気まぐれなハチワレ猫です。
頭抱えながら文章を考えてます。
スイカと芋と肉と魚に、お米とお酒、ブドウが好き。
よろしくお願いします。

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