悪魔と契約

このギターとの出会いは中古楽器取扱店だった。
一目見て運命を感じたよ。こいつは最高の相棒になるって。
だが残念な事に俺のギターの腕前は一向に上達しなかった。
それでもギタリストを目指した。いつか俺の演奏で武道館を満員にしてやると夢見ていた。
だが、もういいんだ…俺の夢をずっと傍で応援してくれていた妻が病に倒れた。妻はもう助からないらしい…
だから俺は悪魔を召喚した。俺の命と引き換えに妻を助けてくれ！
「断る」
悪魔は即答した。何故だ？
「お前の安い魂でその女の命が救えると思ったのか？」
じゃあ、どうすれば…
「そのギターを寄こせ。そうすれば願いを叶えてやる」
このギターは俺の相棒、俺の魂。そういう事か…
「分かった！ギターはくれてやる」
「契約成立だな」

地獄にて
『おっ！お前いいギター持ってんな』
「ああ、現世で見つけたんだ。一目見て運命を感じたよ。こいつは最高の相棒になるってな」