『北風とチョコレート』 播磨の豪商
2
3
時は江戸。
ある商家の大旦那が長崎に見聞の旅をした。
そこで彼はある芸子と仲良くなった。話のなかで彼女が異人からもらったという品を口にした。
どろりとしていたがこれまで味わったことのない面白い味だった。
これはもしかしたら儲けの予感。
だが今は鎖国の世。渡来の品であるこれの流通は難しい。
そう渋面になる彼の横で、芸子が砂糖菓子のような笑みでつぶやいた。
「こんなステキな品で、皆が笑う世の中になればいいのに……」
時は流れ幕末。
件の旦那の家系は家訓に従い商いを拡げ、その財で志士を強力に援助した。
そしてついに明治維新が成った。
「ご先祖様……もう少しです。もう少し」
だがその家系は明治半ばに訳あって終わりを迎える。それを偲んだ友人、伊藤博文が碑を作った。
『この者、北風荘右衛門の家、旧き約束に従い新しい世を拓く助けとなる』
彼らが世を去った四年の後、チョコレートの工場生産が普及し始めた。
ある商家の大旦那が長崎に見聞の旅をした。
そこで彼はある芸子と仲良くなった。話のなかで彼女が異人からもらったという品を口にした。
どろりとしていたがこれまで味わったことのない面白い味だった。
これはもしかしたら儲けの予感。
だが今は鎖国の世。渡来の品であるこれの流通は難しい。
そう渋面になる彼の横で、芸子が砂糖菓子のような笑みでつぶやいた。
「こんなステキな品で、皆が笑う世の中になればいいのに……」
時は流れ幕末。
件の旦那の家系は家訓に従い商いを拡げ、その財で志士を強力に援助した。
そしてついに明治維新が成った。
「ご先祖様……もう少しです。もう少し」
だがその家系は明治半ばに訳あって終わりを迎える。それを偲んだ友人、伊藤博文が碑を作った。
『この者、北風荘右衛門の家、旧き約束に従い新しい世を拓く助けとなる』
彼らが世を去った四年の後、チョコレートの工場生産が普及し始めた。
恋愛
公開:20/02/09 21:07
はじめまして~。
いつだって初心で、挑戦者のこころでぶっ込みたい素人モノ書きです。
沢山の方々に支えられ、刺激を与えられ、触発されて今日ももちょもちょ書いております。
一人だけでは生み出せないモノがある。
まだ見ぬステキな創造へ、ほんの少しずつでも進んでいきたい。
ショートショートというジャンルに触れる切っ掛けをくださった、
月の音色と大原さやかさんを敬愛し感謝しております。
興味をもって読んでくださる全ての方にも、ありがとうございます~^^
ログインするとコメントを投稿できます