ある世界での出来事~流動する歴史

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エビ民族は二百年もの間、魚の家畜として扱われてきた。近代に入り独立を勝ち得たのは、革命家タイガーシュリンプ一世の活躍によるものである。そして、現在の大公タイガーシュリンプ三世は友好国とともに魚への対抗心を燃やし続けている。
「マグロもハマチも苦戦続きか。いい気味だな」
報告を受けた大公は足早に何処かへ向かっている。
「サーモンは二方面作戦を強いられていますが、サンマの参戦でどうにか耐えているようです」
「できれば続いてほしいものだよ。どんどん数を減らして仲良く共倒れだ」
邪悪な笑みを浮かべつつ、大公は温室へ入った。
「ああ、やはり美しい」
珍しい珊瑚を手に入れたので、手入れをしに来たのだ。
「執務が早く終わり、何よりでございます。どうですか殿下……おや?」
大公は珊瑚に触れた途端、倒れ込んだ。
「殿下?! 殿下ぁーーー!!!」
珊瑚の表面で何かが蠢く――それは猛毒のイソギンチャクだった。
ファンタジー
公開:20/02/09 12:01

加賀守 崇緒( 猫屋敷 )

気まぐれなハチワレ猫です。
頭抱えながら文章を考えてます。
スイカと芋と肉と魚に、お米とお酒、ブドウが好き。
よろしくお願いします。

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