つばさの行方

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昔々のお話。
男はその日、山で兎を捕まえる事が出来、喜んでいた。
出産間近の妻に少しでも良いものを食べさせたい。妻はきっと喜んでくれるぞ。
「それはどうでしょうか?」
捕まえた兎が突然喋った。驚く男に兎は尚も言う。
「僕の肉なんて高が知れています。それより僕を逃がしてくれたらもっといいものを食べさせてあげられますよ」
こんな奇妙な兎の肉を食わせたらどうなるか分からん。男は兎を手離した。
兎は満足げに笑うと「月が~出た出~た~月が~出た」と歌い始めた。
すると空に浮かぶ満月から団子が降って来た。
「どうぞ」
兎が奨める団子を一つ口にすると大層美味かった。
「月の団子は栄養満点です。奥方様にも宜しくお伝えください」
兎はそう言うと耳を鳥の翼のように広げ、月へと飛んで行った。
あの兎は月の兎だったのか…
男は以後、満月が出ると歌を歌うようになった。
満月の兎が男に気付くと団子をくれるからです。
ファンタジー
公開:20/02/10 18:47

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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