都電荒川線バス
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JR大塚駅から飛鳥山公園に行こうと、都電荒川線(路面電車)を待っていると、ホームに一台の都営バスが侵入してきた。
レールの上を無理に走行して来たから、ちょっと車体が斜めに停まる。
プシューと乗降口が開いたので、中を覗く。
「どうぞ」
「あの、飛鳥山には行きますか」
「行きますよ」
運転手はしれっと答えた。川の中ほどに佇んで、目の前に魚が出現するのをじっと待っている鳥のような目つき。
「やっぱりやめときますわ」
「そうですか」
扉が閉まりバスは発車した。ガタゴトとジープのように車体を揺らしながら線路の上を走っていく。
運転手はその後、逮捕された。
幼い頃から鉄道会社に勤めるのが夢だったが、試験に落ちてバスの運転手にしかなれなかったそうだ。新聞記事によると、次は江ノ電を走ってみたかったと言っているそうである。
人間、長く生きていると、色んなものを見るものだ。私は新聞を閉じた。
レールの上を無理に走行して来たから、ちょっと車体が斜めに停まる。
プシューと乗降口が開いたので、中を覗く。
「どうぞ」
「あの、飛鳥山には行きますか」
「行きますよ」
運転手はしれっと答えた。川の中ほどに佇んで、目の前に魚が出現するのをじっと待っている鳥のような目つき。
「やっぱりやめときますわ」
「そうですか」
扉が閉まりバスは発車した。ガタゴトとジープのように車体を揺らしながら線路の上を走っていく。
運転手はその後、逮捕された。
幼い頃から鉄道会社に勤めるのが夢だったが、試験に落ちてバスの運転手にしかなれなかったそうだ。新聞記事によると、次は江ノ電を走ってみたかったと言っているそうである。
人間、長く生きていると、色んなものを見るものだ。私は新聞を閉じた。
その他
公開:20/02/08 08:58
都電荒川線
都営バス
最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。
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