アイスクリンカー

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ある製菓機械メーカーは、冬にアイスクリームを食べる冬アイスブームに便乗し、画期的な商品「アイスクリンカー」を販売した。
アイスクリンカーの由来は、まずアイスクリンだ。アイスクリームの昔の呼び名で、砂糖や卵、脱脂粉乳を使ったシャーベットのような食感で、当時はハイカラな味だった。今では素朴で懐かしい味を楽しめる。
そして、もうひとつがクリンカーだ。セメントの原料である石灰石などをロータリーキルンのような回転式の窯で焼き固めたものだ。
アイスクリンカーに砂糖や卵、脱脂粉乳を投入すれば、回転式の製氷機(氷窯)によって急速冷凍されてカチコチに固まる。
新食感のアイスクリームを家庭で作れると話題になり、アイスクリンカーは大ヒット商品となった。
さらに大型のアイスクリンカーを開発し、雪祭りの会場にアイスクリームでできた彫刻と銘打って、蒸気機関車や電波塔などを展示したところ、子供たちから大人気となった。
SF
公開:20/02/08 06:02
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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