ある世界での出来事~闇に蠢く虎の陰

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「共和国が劣勢とな?」
いや、当然かもしれない。
もともとあの国は無茶をし過ぎたのだ。
「共和国は先手を打つため国境に兵を進めていましたが、連邦軍が海溝側から強襲を行い、大幅に後退させた模様です」
窮魚大魚を噛む……いや、連邦はもともと強国だ。いかに衰えようと、その力は侮れない。
勢いに任せ慢心しきった共和国の無策ぶりには失笑が漏れそうだ。
「さらに、大ハマチ帝国がマグロ側として参戦。カツオ王国も両国を支援するため、艦隊を集結させています」
「ハマチならまだしも、タタキ技の強兵で知られるカツオまで……サーモンが可哀想になってきたねぇ」
趣味の盆栽珊瑚を眺める。南海から取り寄せた自慢の逸品だ。
珊瑚はこんなにも美しいのに、魚界の魑魅魍魎どもは血の味を好むらしい……
「だが、むしろ好機である。奴らを消耗させ、我らエビの民が魚界の覇権を握るのだ」
「仰せのままに、大公殿下。ジーク・シュリンプ!」
ファンタジー
公開:20/02/08 00:55

加賀守 崇緒( 猫屋敷 )

気まぐれなハチワレ猫です。
頭抱えながら文章を考えてます。
スイカと芋と肉と魚に、お米とお酒、ブドウが好き。
よろしくお願いします。

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