相貌欠落症

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教室に入ると、皆の顔が無かった。
あれ、おっかしいなぁ、とは思ったものの、授業が始まるので着席した。
教室のドアが開くと、顔のない先生が立っていた。
「おはよう、出席とるぞぉ」
声からして、担任の山中だ。
私は皆の顔が見えないことを不思議に思ったが、別段気になることでもなかった。
クラスに、特に仲のいい友達はいない。

学校を終え、家に帰ると顔のない母が出迎えてくれた。
その後も、弟や父の顔を見たが、全員顔が無かった。
幸いなことに、飼い犬のペロには顔がある。
私はそれでも気にならなかった。
別段、家族と過ごすこともないからだ。
顔を見ないで家を出て、帰ってきて、顔が無い人たちとSNSで繋がっていく。
なんだ、いつも通りじゃないか。

私はトイレで用を足すと、洗面台に向かった。
手を洗いながら鏡を見ると、自分の顔が無いことに気が付いた。
「うっわ、どうしよう。コンタクト外せないじゃん」
公開:20/02/07 21:00
当たり前にあること 第一印象消滅

Hiro.K( 日本 )

あまり文章を書くのが得意ではないのですが、出来る限り投稿していきたいと思っています。
よろしくお願いします。

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