幸せだ

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気が付いたら、走っていた。
僕は空気をいっぱい吸い込んだ。
肺は悲鳴を上げる。
今日、嬉しいことがあった。
他人にとっては、どうでもいいことかもしれないようなことだった。
それでも、僕は嬉しさのあまり、道端を歩いている時の通り雨の様に、突然に走り出してしまった。
前を真っ直ぐ見つめて、視界の端で風景が走る。
心臓を握り潰してしまいそうになる冷たい空気が僕の中で作り変えられ、口から白い煙として押し戻される。
苦しくて苦しくて、それでも僕の顔から笑みが消えなくて。
足がもつれ、漸く立ち止まる。
止まらない動悸に合わせて唾をのむ。
顔を上げると、そこには人が灯した光が無い世界。
僕が一日中走ったとしてもたどり着くことができない星々が、今にも落ちて来そうな程近く感じた。

また明日から仕事だ。
嫌なことはいっぱいある。
でも、いいことだっていっぱいあるのだ。
そんなことに気が付ける日々は幸せだ。
その他
公開:20/02/07 21:00
妄信的

Hiro.K( 日本 )

あまり文章を書くのが得意ではないのですが、出来る限り投稿していきたいと思っています。
よろしくお願いします。

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