火曜日午前10時のFAX

第二火曜日午前十時必ず送られてくる木下おじいちゃんの処方箋FAX。大学病院帰りに薬を受け取るために送られてくるものだが、今日は薬の名前が全て二重線で消してある　薬が出ないのなら送る必要がない（そもそも処方箋自体が発行されるはずがない）ので、不審に思った薬局は当該大学病院へ確認の電話を入れるがFAXカウンターの返事は送っていないと一点張りだった。
何かの間違いなのかと、その二重線で引かれたFAXをシュレッターにかけた。
次週の火曜日木下のおじいちゃんの奥様が薬局にやってきた。
おじいちゃんは毎回病院の帰りにここに寄り薬を受け取って話をするのがとても楽しみだと言っていたが先週亡くなられたという事をお礼の言葉と共にわざわざ伝えにきてくださったのだ。
薬局のスタッフは、先週のFAXがもしかしたら木下様のお礼のFAXだったかもしれませんと、奥様に伝え、わざわざありがとうございましたとお礼を言った。