ある世界での出来事～友は苦難へ身を晒す

大ハマチ帝国がスズキ目族の友邦であるマグロを支援するため、サーモン共和国に対し宣戦を布告したのは、開戦後二日目のこと。
ハマチとサーモンは地続きで、かつてはカワハギ共和国を挟んでいたが、開戦前にカワハギはサーモンの侵攻で消滅している。無論、陸戦で立ち向かうこととなった。
緒戦は……やはり苦戦が続く。
旧カワハギ領が大陸棚の地狭だったことで、分厚い戦線が構成され突破が困難になったのだ。ハマチの背後にも立場を表明しない複数の国家がいるため油断はできず、近海でも海戦が頻発。余談を許さない状況が続いた。
ハマチには友邦マグロを救うだけでなく、かつての栄光――グレートブリランド永世帝国を復活させる大志もあったのだ。この偉大なる目的のためなら、数だけのサーモンなど彼らにとっては他愛も無い。
しかし、近隣の強敵神聖サンマ帝国がサーモン共和国と同盟を締結したことで、その希望は薄れ始めたのだった。