逃げた先で出会ったもの、戻ってきた先で出会ったもの、

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警察に追われる俺は無我夢中で山中を走り回った。道路は封鎖され、背後からは俺を追う警察犬の息遣いが聞こえてくる。捕まるまいと俺は夜通し逃げ続けた。
気が付けば俺は小さな村に辿り着いていた。テレビもなければラジオもない。電話すらなく新聞も来ない。ジジババばかりの村は俺を旅人と勘違いし、厚くもてなしてくれた。
俺は暫くこの村で身を隠す事にした。

あれから1年が経った。村には人っ子一人やって来ない。完全自給自足の村は閉鎖された環境だ。
さらに10年が経ち、20年が経った。俺以外、誰もいなくなった集落で俺は自分の人生を振り返った。
やはりこのままではダメだ。俺は集落を出る決意をした。遅くなったが罪を償おう。

出頭してきた俺を見て警察官は驚いた。1日でよくこんなに老けたものだと言われた。
1日?何を言っているんだ?
俺は檻に入れられた。

檻の中、いなくなった村のジジババ達が俺を厚く迎えてくれた。
ミステリー・推理
公開:20/02/06 19:17
更新:20/02/07 13:20

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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