つばさの行方

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祖父が亡くなり、その葬儀が執り行われる中、私達は最後に鳥送を行った。
誤解しないで欲しい。鳥送とは海外で行うような遺体を動物に食わせるものではない。
その証拠に鳥葬ではなく鳥送だ。
祖父は手塚治虫先生の火の鳥という作品が大好きだった。自分も亡くなったら火の鳥に送られたいと言っていた。
だから私達はその願いを叶える事にした。
家族皆で両手に花火を持つ。指の間に4本。合計一人8本。それらに一斉に火を点けると、鳥の翼のようにはためかせた。
飛び散る火花は抜け落ちる羽のよう。私達は今日の為に一生懸命練習した。
最初は訝しがっていた参列者も、私達の火の鳥の舞を見てその目を輝かせた。
花火が消え、私達の舞が終わると万雷の拍手が起こった。
お爺ちゃん見てる?私達の翼、ちゃんと届いたかな?
公開:20/02/06 18:29

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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