四人のユウコ

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彼女のユウコとふたりでの帰り道。辺りはもう真っ暗だ。
突然、暗闇の中からランドセルを背負った女の子が現れた。
「わたしユウコ。おうちのカギがなくて帰れないの」
「まじか。お巡りさんの所へ行こう」
次の瞬間少女はパッと駆け出した。追いかけたがもうその姿はなかった。
俺たちは諦めて駅への道を歩いた。
「あのぉ」
暗闇の中から急に声がした。少し驚きながらもそちらを見ると、おばあちゃんが立っていた。
「家がわからなくなっちゃって……」
今日は迷子が多いな。
「おばあちゃん、警察行く?」
「いやねぇ、カズオさん、私よ」
どうやらボケているらしい。
「ユウコおばあちゃん!」
暗闇から中年の女の人が現れた。
「その人、お隣さんなの、ちなみに私もユウコよ」
その瞬間、思い出した。ここら辺でユウコという名の女性が殺されている連続殺人事件のことを。
「全員、死人じゃん」
彼女のユウコが言う。
「私もだけどね」
ホラー
公開:20/02/06 12:26
更新:20/02/06 12:27

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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