姉妹
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ゆりは階段を上る時も下りる時もその二段目を必ず飛ばさなければ気が済まないのです。なぜそうなのか、それは彼女自身にもとんと分からないのですが、もうずっとむかしからそうしているので、そうしないという選択肢はもはや彼女には考えられないのでした。
けれどもその理由をただひとり、この世界で知っている人がいました。それはゆりのふたつ上の姉で、彼女は幼い頃こう言って妹を怖がらせたのです。
「いい、階段の二段目にはドラキュラが眠っていて、うっかり踏むと彼が目を覚ましてしまうのよ」
ゆりとその姉は成長し大人になって子どもを産みました。
たまたまその順番は、ゆりが先だったので、彼女は姉に向かって子育てのことをあーだこーだと教えたがるのです。姉からすればうっとうしい上に腹立たしいのですが、妹がいまだに階段の二段目を律儀に飛ばしているところを見ると、まあ許してやるか、とそういう気持ちになるのだそうです。
けれどもその理由をただひとり、この世界で知っている人がいました。それはゆりのふたつ上の姉で、彼女は幼い頃こう言って妹を怖がらせたのです。
「いい、階段の二段目にはドラキュラが眠っていて、うっかり踏むと彼が目を覚ましてしまうのよ」
ゆりとその姉は成長し大人になって子どもを産みました。
たまたまその順番は、ゆりが先だったので、彼女は姉に向かって子育てのことをあーだこーだと教えたがるのです。姉からすればうっとうしい上に腹立たしいのですが、妹がいまだに階段の二段目を律儀に飛ばしているところを見ると、まあ許してやるか、とそういう気持ちになるのだそうです。
公開:20/02/07 18:52
更新:20/02/07 19:07
更新:20/02/07 19:07
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