幽霊マンション

「ただいま」
『おかえりなさい。アナタ、帰って来て早速悪いんだけど健の事を叱ってくれない？あの子ったら、部屋に鍵かけてずっとゲームしているの』
「壁をすり抜けて注意すればいいじゃないか」
『それがあの子、壁にお札張って入れないの…もう私どうしていいか分からなくて…』
「分かった。俺が話をしよう」

「健、ちょっといいか？」
「何？父さん」
「何で母さんを困らせるようなことをするんだ？」
「だって母さん、この世に未練があって幽霊になってまで僕達といるんでしょ。僕がいい子になって、未練がなくなって成仏したら僕、寂しいよ…」
「そうだったのか…大丈夫。母さんは成仏したりなんかしないよ」
「本当？」
「ああ、その為に幽霊と暮らせるこのマンションを購入したんだ。これからもずっと一緒さ」

「ちゃんと言っておいたよ」
『ありがとう、アナタ』
「あと最近、死神が増えてきている。外に出る時は気を付けろよ」