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「ほら見ろ。……簡単だよ死ぬのなんて」
刺した香澄さんの方が、刺された顔だった。
「死んだら取り返し付かねぇんだよ、お前ら全然解ってねぇ」
香澄さんの手から、ナイフが跳ねて道路に落ちた。
マジック用のオモチャだった。
「何でもしてきた。守って、庇って、生まれてから今までずっと。何でもしたし何でも渡した。香月が幸せに人生過ごせんなら、俺に出来ねぇ事なんてねぇんだよ。……たとえ香月の傍に、俺の居場所がなくても」
うずくまったのかと思った。
「頼む。やめさせてくれ。香月を説得して断念させてくれ。そしたら二度と顔出さねぇ。目障りならどこでも行くから。……頼む、香月を助けてくれ」
愛する女を危険にさらす恋敵に、土下座で懇願出来る。さすが香月さんの弟、最高に男だ。
「香澄さん。……俺、あの人を信じてます。世界唯一で、世界一の紡香師っすよ。成功しないわけない」
嗚咽をもらす香澄さんの頭が、小さく頷いた。
刺した香澄さんの方が、刺された顔だった。
「死んだら取り返し付かねぇんだよ、お前ら全然解ってねぇ」
香澄さんの手から、ナイフが跳ねて道路に落ちた。
マジック用のオモチャだった。
「何でもしてきた。守って、庇って、生まれてから今までずっと。何でもしたし何でも渡した。香月が幸せに人生過ごせんなら、俺に出来ねぇ事なんてねぇんだよ。……たとえ香月の傍に、俺の居場所がなくても」
うずくまったのかと思った。
「頼む。やめさせてくれ。香月を説得して断念させてくれ。そしたら二度と顔出さねぇ。目障りならどこでも行くから。……頼む、香月を助けてくれ」
愛する女を危険にさらす恋敵に、土下座で懇願出来る。さすが香月さんの弟、最高に男だ。
「香澄さん。……俺、あの人を信じてます。世界唯一で、世界一の紡香師っすよ。成功しないわけない」
嗚咽をもらす香澄さんの頭が、小さく頷いた。
ファンタジー
公開:20/02/04 20:40
更新:20/02/23 17:40
更新:20/02/23 17:40
ペトリコール:
雨が降った時、地面から上る匂い
ギリシャ語で『石のエッセンス』
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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