ピンクの実を食べたから

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桜が降り積もる日。
彼女が桜を眺めていると、
桜の木にピンクの実がなっているのを見つけた。
彼女は導かれるように
木に登ってピンクの実を取った。
取った実をまじまじ見つめる。
さくらんぼではない。
大きさは小さな林檎ぐらい。
表面はすべすべでピンク色に光っている。
顔を近づけると、甘い匂いがする。
彼女はそのピンクの実を口に入れた。
すると彼女の世界はピンク色に染まった。
 
「その日から色はピンク色しか認識できなくなったわ。わかるのは黒白とピンク色だけ」
彼女はため息をついた。
「だから、あなたの着ているらしい紺色の服は黒色にしか見えないの」
「では人間の肌は?」
「え?」
「人間の肌ってピンク色の時が多いでしょう」
彼女は首を振る。
「いや、私は白色にしか見えないのよ。
だから」
彼女は私をじっと見る。
「だからあなたが青色の肌を持つ宇宙人だって言われても、わからないの」
ファンタジー
公開:20/02/05 18:00
更新:20/02/05 18:31
さくら ピンク色

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