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 昔々のお話です。月夜の砂漠に隕石が落ちました。隕石には種子がついていました。異星のものでしょうか。
 砂漠に埋まった種子は水もないのに双葉を開かせ一夜のうちに蔓が伸び、美しい花を咲かせました。


 翌朝、砂漠の国の王が駱駝の鞍上からその花を見つけました。若い王です。王は興味深く思い花を摘んで帰りました。


 城の寝室の花瓶に花は挿されました。月が完璧な円を描く夜、その花は虹色に発光しました。そして美しい娘に姿をかえました。


 王は寝台に娘を引き込むと躰中に鮮やかな赫い花を咲かせました。王は溺れました、甘い甘い蜜のような娘の躰に。やがて娘は孕みました。


 娘は蔦を産みました。蔦の蔓はどんどん伸びて、国中を覆い尽くしました。王の国は滅びました。この物語がかかれた羊皮紙は戦火によって焼かれ、結末は誰も知りません。
ファンタジー
公開:20/02/05 16:07
更新:20/02/24 14:01

千億アルマ( Tokyo, Japan )

Senoku ALMA
https://note.com/shiro_mid

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