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寂しいドアを知っていますか? 寂しいドアは、家主を無くしたドアです。私の脳は、顔パッチと呼ばれるシナプス(顔に特化し、その感情を読み取って反応を起こす)でドアを認証してしまうという、珍しい共感覚脳なのだそうです。
私は寂しいドアが求めているものを与えることができます。しかし寂しいドアは頑なになっていて、それを認めようとしません。私は、その寂しいドアの一時的な感情を黙殺し、情け容赦なく陰部にライト付スコープを捻じ込み、その個性的な秘部の隅々まで明らかにした後で、そこに潤滑油を注ぎ込み、手馴れた金属製の器具を技師さながらに操って、襞を一枚ずつ刺激していきます。ドアは恐れ、恥じらいますが、結局は私の前に全てを晒すのです。なぜなら、寂しいドアは、そうされることを望んでいたのですから。
そうして侵されたドアの内部に、私は何の興味もありません。町には、たくさんの寂しいドアが待っているのですから。
私は寂しいドアが求めているものを与えることができます。しかし寂しいドアは頑なになっていて、それを認めようとしません。私は、その寂しいドアの一時的な感情を黙殺し、情け容赦なく陰部にライト付スコープを捻じ込み、その個性的な秘部の隅々まで明らかにした後で、そこに潤滑油を注ぎ込み、手馴れた金属製の器具を技師さながらに操って、襞を一枚ずつ刺激していきます。ドアは恐れ、恥じらいますが、結局は私の前に全てを晒すのです。なぜなら、寂しいドアは、そうされることを望んでいたのですから。
そうして侵されたドアの内部に、私は何の興味もありません。町には、たくさんの寂しいドアが待っているのですから。
その他
公開:20/02/05 14:16
シリーズ「の男」
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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