おいしい・母

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ある日を境に母は私のしつけに力を入れ始めた。
「思ったことは素直に言葉で表しなさい。」「女の子なのよ!言葉使いは丁寧に!」「何の為に国語習ってるの!」「感想文の様に言いなさい!」
思うところがあったのだろう。
家での会話は堅苦しくなった。特に食卓で厳しく、料理の質まであがった。テーブルマナーの1つだろう。これも私の将来を考えてのこと。言葉使いも丁寧になり母に感謝していた。
そして今日。私は真相を知る。
母はテレビ番組の企画に挑戦していたのだ。ランダムに選ばれた名詞と形容詞を組合わせた言葉を1年以内に家族に言わせられるかという企画。食卓に隠しカメラが設置され今日が期限最終日。
お題の名詞は「母」形容詞は「おいしい」審査は厳しく同義語等もダメ。
私が「母の料理はおいしいです。」と言った直後
「っしゃ! 見たかコラッ! やったぞちくしょうが! 10万ゲットだ!」
思いを素直に言葉に表す母がいた。
その他
公開:20/02/05 13:19
更新:20/02/06 13:14

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
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