目玉が食べたい

2
4


「目玉が食べたい」
唐突に聞こえた声に辺りを見回す。
祖母の声だった。
もう6年も前に他界した祖母。
死に目には会えなかったし、何故か通夜にも葬式にも出なくて良いと言われた。
母に電話すると、溜め息混じりに言う。
「何かに取り憑かれた様に色んな魚や動物の目玉を食べてたらしいよ」

いつの間にか鞄に入っていた差出人も宛名もない封筒。
嫁か職場の誰かか、取り敢えず開封した。
中の小さな紙切れには「開けたら食べる」と書いてあった。
唐突に電話が鳴る。
まだ赤ん坊の娘の目玉が消えた知らせだった。慌てて病院へ駆けつけた時には封筒も紙切れも消えていた。

夢を見た。
私は暗闇の中で大きな黒猫と出会う。
そして何かを聞かれる。
出産から数ヶ月したある日、娘の目玉が無くなっていた。
黒猫の言葉を思い出す。

「目玉と舌のどちらにする?」

私は、何て答えたの?
何故私ではなく娘なの?
ホラー
公開:20/02/03 16:46

右左上左右右

アイコンは壬生野サルさんに描いて頂きました。ありがたや、ありがたや。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容