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大学をやめて調香師になる。俺の決意は決意として、当然家族は黙ってなかった。
「寝言も大概にしろ、俺は断じて認めん!!」
「まさか、ここまでアホとは……」
正月早々、実家では親父の怒号が響き、兄貴(俺は次男)は呆れた。俺が『紡香堂』にのめり込み過ぎる事、常々危惧してたんだろう。俺が逆の立場でも、同じ事言う。
由緒正しい香道家に生まれ、フランスで『ル・ネ』(最高峰)の称号取ったパフューマー。お内裏様(宮内庁の隠語)から極秘依頼受ける様な人。香月さんの経歴は説得に使いたくなかった。自力で認めさせる事も出来ないで、傍にいる資格なんかない。
「多生の縁なのねぇ」
お袋だけが反対しなかった。
「お前のそんな顔、初めて見た。好きにしなさい」
そう言って、俺に匂い袋をくれた。着物の片袖を二つ、紐で繋げた形。
「誰が袖(たがそで)。着物の両袂に入れる物だけど……お前とその人に」
お袋には敵わないなと思った。
「寝言も大概にしろ、俺は断じて認めん!!」
「まさか、ここまでアホとは……」
正月早々、実家では親父の怒号が響き、兄貴(俺は次男)は呆れた。俺が『紡香堂』にのめり込み過ぎる事、常々危惧してたんだろう。俺が逆の立場でも、同じ事言う。
由緒正しい香道家に生まれ、フランスで『ル・ネ』(最高峰)の称号取ったパフューマー。お内裏様(宮内庁の隠語)から極秘依頼受ける様な人。香月さんの経歴は説得に使いたくなかった。自力で認めさせる事も出来ないで、傍にいる資格なんかない。
「多生の縁なのねぇ」
お袋だけが反対しなかった。
「お前のそんな顔、初めて見た。好きにしなさい」
そう言って、俺に匂い袋をくれた。着物の片袖を二つ、紐で繋げた形。
「誰が袖(たがそで)。着物の両袂に入れる物だけど……お前とその人に」
お袋には敵わないなと思った。
ファンタジー
公開:20/02/03 10:34
誰が袖(たがそで):
誰が袖香とも。和服用の匂い袋
紐で繋ぎ、両袂に入れて使用。
袖を振るとよく香る。紐で繋がず
単品で使う事も可能。
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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