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最近私と母は言い争いが絶えない

「ねえやっぱりあの傷治したら?」
母がそんな事ばかり言ってくるからだ

「あの傷」というのは私の背中にある大きな火傷痕で幼い頃不注意で負ったものだ

「いいよ別に」
その度私ははぐらかしてきたが結婚式が近付くにつれ母の顔は険しくなっていった

「今は治療技術も進んでるだろうし」
「でもお金かかるじゃん」
「そんなのお母さん払うわよ」
「いいよ、病院行く暇ないし」
「でもドレスは?傷のせいで好きなドレスも着られないわよ」

瞬間私は酷く苛立った

「だからいいって言ってるでしょ!お母さん、自分の罪悪感私に押付けないで!」
「…そんな怒らないで」

そっちこそやめてよその顔
私は自室に逃込むと姿見に背中を映した

「お母さん何にも分かってない」

だってこの背中にあるものはさ、あなたがその温かい手で何度も何度もなでてくれた大切な思い出のひとかけらなんだからー
その他
公開:20/02/02 23:02
更新:20/02/05 07:00

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