つりあわないラーメン店⑥

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 値上げを知らず2年間も90円少ない支払いに気付けなかった吉澤君。
 カギを握る仕組はこうだ。
700円のままだと思っていた彼は千円の釣り300円
百円玉を3枚取っていた。
790円に値上後は千円の釣り210円
百円玉2枚と十円玉1枚となる。
カゴから取る硬貨の枚数が同じ3枚で気付かれなかった。

断られず返済するには今後も同枚数の硬貨を取る必要がある。
千円の釣りを百円玉1枚と十円玉2枚の120円取れば本来の210円との差額90円。
 間違えてきた差額と同額分少なく、同期間の2年をかけて返せる。硬貨枚数3枚も同じでバレない。

 苦学生の頃からずっと自分を支えてくれた来々軒への贖罪を果たすべく考えた優しきトリック。
 2年間も続け、もう終わるはずだ。
 推理後、俺も彼に習い1番の解決法を考えた。
「大将。何もしなくても来月にはおさまるよ」

 変わらない店の変わらない味がまた美味くなる。
ミステリー・推理
公開:20/02/02 22:57
更新:20/05/23 10:36
立中森一(たてなかしんいち) 推理物シリーズ

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
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