誘惑と抵抗

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 寒い時期に炬燵でミカンを食べるという至福のひと時を過ごす人はそれなりにいるのではないだろうか。
 床暖房や二重窓など室内の温度コントロールが昔よりも優れているので炬燵のない家も増えているかもしれないが、かのアイテムの魅力は衰えることを知らない。

 つい、肩まで潜ろうものなら強烈な睡魔が襲ってくる。それに打ち勝つことができればいいのだが、悪魔の囁きに包まれてしまい、ついには屈してしまうことがある。
 すると、砂漠を彷徨う夢とともに全身の疲労感を伴って目を覚まし、後悔してしまうのだ。

 炬燵のところにマットを敷かなければ床が固いので誘惑をふりほどくことができるだろう──そんな浅知恵を働かせたところで、どれほどの効果があるのかは人によるのだろうか。
ホラー
公開:20/02/04 11:33

fnro6( こことtwitter(@fnro6)と他にもいろいろ )

書いたり描いたりすることが好き。
ただし気分屋でムラがあるからいつも書いたりしているとは限らない。

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