２０２０年・節分

「サトシ、鬼が来たわよ！さ、豆をまいて！」
「鬼は～外！福は～内！」
『ぎゃぁっ！こりゃたまらん！』
「やったわね、サトシ。鬼さん逃げて行ったわよ」
「…つまんない…」
「えっ？」
「だって鬼さん、外からこっちに来ようとしないんだもん！家の中入ってこようとしないんだもん！ねぇ、どうして鬼さん！どうしてなの！」
「…すみませーん！鬼さんちょっと戻って来てくれませんか？」
『呼び戻されるのは初めてですよ、奥さん』
「すみません。サトシの質問に答えてやって貰えませんか？」
『…え～っとな、坊ちゃん。俺はな、今年家の中には入れないんだ』
「どうして？」
『そりゃ、家に入ったらうがい手洗いをしなくちゃならないからさ。俺達だって風邪は怖いからな』
「鬼さんも、僕たちと同じなんだね…」
『ああ、これやらないとウチのカァちゃん…鬼嫁が怒るんだ…子供達にも示しがつかないからな』
「鬼さんも大変なんだね…」