つばさの行方

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私は老衰・寿命で亡くなった鳥の死骸を見た事がない。
私が発見する鳥の死骸と言えば差異はあれど、事故で亡くなったもの、動物に襲われ亡くなったものばかり。
では、それ以外の死骸は一体どこにあるのか?それを考えていた時、私は一冊の本に出合った。
宮沢賢治作、よだかの星。
この物語の主人公であるよだかは命を懸けて夜空を飛び続け、いつしかよだかの星となり、今もまだこの夜空で燃え続けていると言う。
きっと鳥達はそんなよだかに憧れたのだろう。
歳を取る事で醜くなった己の身をよだかのように輝かしいものに変える為に夜空へと飛び立ったのだ。
私があの日見た流れ星。あの一瞬の輝きはよだかの星になろうと鳥がその命を燃やしたものではないかと思っている。
空に落ちる、なんて表現を聞いた事がある。もしかしたら鳥の翼は空へと落ちないようにもがいていたのではないだろうか?
そんな事を考えながら私は今も翼の行方を追っている。
公開:20/02/03 18:26

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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