文学列車

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 扉が閉まると電車のアナウンスが始まった。
「本日は丸ノ外線、新宿二丁目行きにご乗車下さいまして誠にありがとうございます。どうぞ私とごゆっくりお過ごし下さい」
 いや、私って誰だよ、と思った。
「私、最近彼女から貴方がこの世界に生きている意味って何? って真顔で聞かれました。こうして運転士として毎日頑張ってるのに。私は、そんな世界にかけがえの無い人間、松田でございます」
 知らんがな、と思った。
 松田運転士の独り語りはそれからも延々と続いた…。
 主に俺は悪くないけど女にフラれたというくだらない内容だった。完全に電車を私物化していやがる。
「…次は終点新宿二丁目です。この後、私と一杯やりたい人はここで降りて下さい。それ以外の人も降りて下さい。ご乗車誠にありがとうございました」
 松田はすごくナルシストで聞いてて色々と腹が立った。だけど、なんでかなぁ、終点までコイツの話を聞いちゃうんだ。
その他
公開:20/02/01 20:55
文学列車 私小説

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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