紡香師(ほうこうし)肆拾捌~香気

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いかん混乱してきた……。
俺の好きな香月さんの匂い。本人にとって、成長を阻害する呪い。当然香月さん自身は、嗅ぎ慣れてるにせよ、匂いを感じる。だから嗅覚がどうのって話になる。
『オレの匂い、他の人間は感じてねぇから』
だとすると、このセリフは矛盾する。他人が感じないなら、研究所が実験に使ったり、弟の香澄さんに作用するのはおかしい。
「お前には身体に教えた方が早いな」
香月さんが、俺の鼻に小瓶を突き付け、開封。
「…ぬおぁぁっ!!」
眉間にパンチ食らった様な、強烈な刺激臭。
「麝香の原液。希釈しないと使えねぇ。次」
別の瓶。半分鼻が馬鹿になってるけど、無事。
「香水の麝香。元が同じとは思えねぇだろ。これがお前と他の人の差」
「ふはひ?(訳:つまり)」
「作用と匂いの強さは比例しない。オレすらトイレと風呂ぐらいしか認識出来ねぇ、まともに検出不可能な匂いを、お前だけがはっきり感じる。特異体質だよ」
ファンタジー
公開:20/02/01 20:22

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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